nakanakadekinai's diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

世の中平等じゃない

今月末までの仕事とわかっていながら、めちゃくちゃ真剣に働いている。

一件でも多く、そしてプロフェッショナルな仕事をと。

私だけではない。

今月一杯でこの職場から撤退するとわかっていながらも、皆ががむしゃらになっている。

あぁ、やっぱり意識の高い人間の集まりだったんだなと痛感する。

途中で投げやりになる人なんて一人もいない。

しばらく成績トップだった私も、あれよあれよと云う間に抜かれて、今では私を飛び越えようとする人だらけだ。

唯一違うことと言えば、私は安定的に数字を出しているということ。

不調な時もあったが、それでもここ最近は再びノルマをこなしている。

気づけば、単なる個人プレーなのに、職場は一致団結している。

互いに切磋琢磨するとはこういうことなんだなと思わされる。

どうやら職場の方々は、うちの会社のメンバーが撤退させられることを何も知らないようだ。

それって恐ろしいことである。

もうあと一週間しかないのに、一体どうなるのだろうか。

やはり私としては寂しい気持ちでいっぱいだ。

せっかく仲良くなった仲間と離れることは残念なことだ。

しかし、割り切って高い時給を求めていかなければならないのだとも思う。

誰も面倒を見てくれないからだ。

いざという時、私を救ってくれるのはやはり私の金でしかない。

職を失ったり、怪我をしたりして、本当に困ったことは何度もあった。

だが、そういう時本当に頼りになるのはやはり自分の口座に入っている金でしかなかった。

励ましの言葉を掛けてくれる人は多数いても、身銭を切ってまで親身になってくれる人は皆無に等しい。

 

「身体に気をつけて頑張ってね」

 

その言葉の裏には願いも込められているが、全ての人とは他人なのだというニュアンスも含まれている。

だから倒れないように稼ぎ続けることが必要なのだ。

肉親や彼氏になった男だって他人事なのだから。

 

 

五月からの仕事については、ある程度指示を待つつもりでいる。

声を掛けるべき人にはもう現状を伝えてあるが、やはり待てとのことだ。

とはいえ一週間しかないのだから、焦る気持ちがあって当然だ。

待つことは苦手でも得意でもないが、仕方がないからただひたすら大人しくしている。

仕事なんて腐るほどあるよ、そう友達は言ってくれた。

私もそう思うが、もし可能なら今の職場から引き抜かれることも少しは期待してしまう。

現実はそう甘くはないし、年齢的に将来性のある若いフレッシュな営業マンの方が有利であることは重々承知している。

 

 

ミーティングがあって、リーダー格の男がこう言った。

 

「天は二物を与えずと云うが、天は二物を与えてるよな!だってこの職場一番の成績を誇る彼は、めちゃくちゃイケメンだから」

 

なるほど。

リーダー格の男は続けた。

 

「この世は平等じゃないし、神は存在しないということが証明される」

 

仰る通りだと思った。

どういうことかというと、私は人一倍努力していれば天はそれを見ていていつかは報われるものだと思っていた。

しかし、この世は平等じゃないのなら、苦労しっ放しの人生は大いにあり得る話。

報われるだろうなんて淡い期待は捨てた方がかえって清々しいかも知れない。

昔の人はお天道様っていうのはちゃんと見てくれていると信じていたかも知れないし、私もそれだけを信じていた。

ところが、天は二物を与えるのだ。

両脚を失ったアメリカ兵が、神と仲直りして結婚した話を思い出した。

生きていると神の存在なんて見えなくなることもあるものだ。

私は別に神と喧嘩しているわけではないが、リーダー格の男の話は何故か腑に落ちるものがあった。

この世は平等じゃない。

何となく、大事なことに気づかされたようでハッとしてしまった。

かといって神と喧嘩してもろくなことはないのだが。