体調が良くなってから、周囲にも優しくなった気がする。
こうも見ている世界が変わるのか。
もしかしたら文章にもそれが表れているのかも知れない。
自分ではなかなか気付かないが、気持ちに余裕が出てきたのは確かだ。
同僚や社長と昼休みに楽しく話ができて良かった。
私が一人で喋っていたようなものだが、周りも私の変化に気付いているかも知れない。
あぁ、自分が優しくなると、誰かに特別に優しくされたくなる。
以前のように近づくなオーラは出ていないと思う。
構ってちゃんになっていたらどうしよう。
なんか人と喋りたくて仕方ない。
そんなことを考えながら皆と喋っていたら、衝撃的な事実に気付いてしまった。
この会社の人は皆が皆、私に対してよそよそしい。
明らかに遠慮しているのがわかる。
絶対に口ごたえしないし、上から目線の人もいない。
ゴキブリくらいなものだ。
ところが、先日の事件。
『いつまでも聴いていたい』
これをお客さんに言った先輩は、私に思いっきりタメ口で私をいじってくる。
この人って何者?
社長ですら、年下だから私にビクビク喋ってくるのがわかるというのに。
この先輩くらいだ。
私に指図までしてくる。
『たまには真っ直ぐ帰りなさい』
は?この人何様?
私より一回りは年下のはず。
だけど単純な私はちょっと嬉しい。
心を開いてくれているような気がして。
この人とだったら飲みに行ってもいいかも。
ヤバ、マジで単純っていうか、私って簡単な女すぎる。
実は社長とこんな話をした。
この会社、社長以外全員が独身なのだ。
『結婚不適合者ばかり集まったってことだな』
もうね、仰る通り。
え?私もその中の一人?
いやいや、先頭切って結婚不適合者でしょ。
そうなの?
私って結婚不適合者なの?
誰よりも結婚したら納得するタイプだと思うが、違うのか?
私なんざ、こう見えても旦那に一途なタイプ。
沢山浮気しそうでそんなことはない。
なぜなら私ごときと結婚してくれたという感謝の気持ちがあるからだ。
数多くいる女の中から私を選んでくれたことに対して、忠誠心まで湧き起こる。
旦那さまさまになると思う。
浮気する時はもう終わりにしてしまう時。
後戻りできないようにするためだ。
しかしこの考え方はなかなか理解されない。
でも、私にとっては所謂ケジメの付け方に過ぎないのである。
将来は田舎に越したいくらいだ。
そして仕事しないのも暇だから、店でもやりたいよな~。
久々に言うけど『蓮’sbar』だ。
これさ、もしかしたら実現するかもよ。
本気で私が結婚したらの話だが。
あぁ、実は社長から縞ホッケをもらって家で焼いた。
一匹食えば腹一杯になると思って、濃いめの角ハイボール五百缶だけを買った。
空きっ腹だったから実に酔ってしまった。
縞ホッケは抜群に美味くて、脂が乗っていて、柔らかくて、あっという間に平らげた。
すると、濃いめの角ハイボールだけが残った。
つまみが無いんですけど。
喋り相手もいないんですけど。
ここで私は知ることになる。
健康な人間は人恋しいのだとね。
人間なんて目障りだって言っている人はどこか病んでいるのかも知れない。
家に一人でいても物足りないと云うことは、いよいよ相手を求めているのだろう。
不謹慎だが、男の一人暮らしの家へ行ってみたいなどと思った。
それは単なる好奇心かも知れないが、言葉では言い表せない達成感と独占欲に浸ることができる。
これから歳を取って行くことを考えたら、私も少しは遊ばないと損だよな。
かといってなかなか女からは誘えないものである。
北千住で一人酒も悪くないが、やっぱり喋りたい。
どうせ一回しか死ねないんだから。
わかっているが、やはり誘われるのを待つのである。
照れてる歳ではないのだけどね。