nakanakadekinai's diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

覚悟と決意

元ホストと、隣の会社の社長と三人でスロット打ちに行ってきた帰りである。

珍しく一滴も酒を飲まず、電車に乗った。

元ホストが駅まで送ってくれた。

 

「今日は真っ直ぐ帰りな!一日に飲もうね!」

 

そうか、一日に飲めるなら我慢するか。

計画では谷塚駅前の居酒屋で飲んで、私の家に泊まることになっている。

そして、二日の日に不動産屋へ行って契約だ。

引越しは七日にする予定。

八日は元ホストに手伝いに来てもらうことになっている。

 

「俺を動かすのは高いよ!蓮ちゃんだけだよ」

 

そう言っていた。

なんだかんだで距離が縮まりつつあるが、『段階』についてはどう考えているんだろうか。

流れに身を任せていいのだろうか。

 

 

新しい季節はまだ始まっていない。

全てはこれからである。

新しい家に住み始めたら、二人で過ごす時間も増えることだろう。

それからが新しい季節。

今はまだ、それが始まろうとしているに過ぎない。

その証として、パジャマと枕を買いに行くことにした。

金がないのにスロットで負けた元ホストに、枕買ってと言えず、私が買ってあげることにした。

私も不動産屋に数十万円の頭金を払わなければならないので金はない。

しかし、枕一つじゃ寝心地悪いし、ずっと使うものだと思うから買ってやることにした。

元ホストは隣の会社の社長と六本木へ用事があるそうだ。

だから、私はGUとホームセンターへ行く。

元ホストへ言ったことがある。

他の誰の言うことも聞かないとね。

自分に関係のある人のことの言うことしか聞かないと。

私は別名忠犬ハチ公と呼ばれている。

好きな人にはどこまでも従順である。

そんな私に元ホストも安堵を覚えているようだ。

蓮ちゃんって良い子だと言っていた。

 

 

当たり前だ!

私は信頼の神。

他の誰の言うことも聞かないところこそ、従順なのである。

私はこうして数々の男を更生してきたのだ。

私に惚れられる人が羨ましいでしょう?

それは、私に声を掛けなかった自分が悪いってことだ。

私のことが好きならとっとと声を掛けてくれればいいのに、キリキリしながら元ホストとの成り行きを見守っているのは私のこと好きじゃないのと同じことである。

私はずっと待っていた。

元ホストとこうなる前から待っていた。

それなのに私に声を掛けてくれたのは、元ホストだけだった。

だから、こうなった。

何度も言うが、元ホストみたいに私に従順になられる男は幸せだと思う。

なんせ、優越に浸り、安心感と幸福感を得るだろう。

男としての自信も付くだろう。

でもね、私と元ホストが結ばれるのも時間の問題だと思う。

まだ抱かれていないのは、神の匙加減だと思う。

運命がはっきりと定まった時、神はGOサインを出すのだろう。

 

 

たまに思うことがある。

元ホストは野蛮な輩だと思われている。

しかし、こんなにウブで純粋で真面目だなんて、知っている人はいるのだろうかと。

キャバ嬢としか付き合ったことがないと言っていた。

だとしたら、プラトニックな純愛をある意味噛み締めて楽しんでいるのかも知れない。

行き着く果ては、恐らく結婚なんだろう。

ただし、借金取りが来てしまうから、籍は入れられないのだろう。

それもまた、神に試されているのだろう。

 

 

本気で籍を入れたいと思う時、元ホストはどうするのだろうか。

私以上に崖に立たされているに違いない。

はて、どうしようかと真剣に考えているに違いない。

燃え盛る炎を飛び越えて、私はここまでおいでよと言っている。

それに応える覚悟を日々決めているように思う。

元ホストは人生が変わる時。

ふと思った。

一緒に東京を出ようなどと言われる日が来るとも思えてならない。

ここ最近元ホストが職務質問されないのは、私という天使が守ってくれているお陰なのだとは、まだ気づいていないようだ。

私は私で、この男を守り抜く覚悟と決意を固めなければならないと思う。

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