なかなか思うようには行かない現実。
昼休憩に、頭金を振り込みに行った。
数十万円が呆気なく消えた。
残高が三万円しかなかったので、穴埋めするかのようにキャッシングした。
それがいけなかったのか、運を使い果たしたのか、午後からボロボロの成績だった。
元ホストは休みだったが、連絡が来なかった。
何故だろうと考えたり、寝てるんだろうと思ったりの繰り返し。
気づいた時には、終業時間になっていた。
マジで、どこへも寄る気がしなかった。
だから逃げるように退社し、電車に乗った。
今月の成績は本気でヤバい。
しかし、一体何が悪いのかわからない。
運に見放されたとしか思えない。
しかし、それもまた何故だろうか。
やはり大きな決断の後には、意味不明な不運が付き物なのか。
いや、これは不運ではない。
ただし、何かしらの流れが変わったのだろう。
来月はどんな月になるのだろうか。
それにしても相変わらずのクズっぷり。
キャッシングしなくても何とかなったのではないか?
いや、来月の支払いがこなせないと思ったのだ。
流石にキャッシングした金で飲み歩く訳にはいかない。
後ろめたさもあったから、直帰を選んだのだろう。
あぁ、やはり人間は運に見放されると弱る。
かといって運が味方についた時に上げた成績なんてクソだ。
実力ではないからだ。
私の運を吸い取るかのように周りは件数を伸ばす。
私だからこの絶不調の中で冷静でいられるのだ。
大抵の人はこれに耐えられず辞めていく。
私は来るべき時が来るまで、ここを乗り越えてゆく。
来るべき時とは、私の時代。
何が欲しいかって、元ホストからの信頼が欲しいのだ。
以前、私を抜擢して良かったと思ってもらいたい。
こんなにわかりやすいモチベーションがあるのに、伸び悩む私。
結果が全ての世界。
マジで穴があったら入りたいよ。
とにかく合わせる顔がないから、さっさと帰る。
帰り道、新人さんとすれ違ったが、ガン無視した。
合わせる顔がないからだ。
このままでは、私は新人さんにも負けてしまう。
もうね、布団から出たくない勢い。
そんな私に元ホストは声をかけてくれないのか?
慰めの言葉も出てこないか?
もしかして、古本屋に在庫品を売ってやったことも運に関係しているのか?
古本屋から連絡が来ないが、幾らになったのだろう。
もしかして、私ってピリピリしてヤケクソになっているのかも。
理性が崩壊しつつあるのかも。
冷静に考えればわかることもわからなくなっているのかも。
元ホストのことだって、なぜこんなに惹かれたのだろう。
私を好きになってくれたからか。
そう、私って義理堅く責任感が強いのだ。
じゃあ惚れられれば誰だっていいのか?って話になるけど、そういうことじゃない。
ただ、私も安心したいのだ。
本気で付き合ったら、私も安堵を得るのかなぁ?
そしたら成績も上がるのかなぁ?
それにしても、絶好調に疲れ果てている。
ただ一つ嬉しいこともあった。
元ホストが休みだったので、私は元ホストの机を使った。
すると、元ホストのパソコンに私のトーク録音が二つ貼り付けてあった。
私がいない時、聴いてくれているのだと思ったらめちゃくちゃ嬉しかった。
なんだ、やっぱり私のことが好きなのね、などと思った。
心細くなってチバユウスケを聴いている。
私のことを抱きしめてくれる人は誰なんだろう。
元ホストは本当の意味で私を抱きしめることができるんだろうか?
私は忠犬ハチ公なのだが、せっかちでもある。
待ちくたびれて、痺れ切らして、飛んでいってしまわないように、抱きしめて欲しいのに。
お前が必要だって、抱きしめて欲しいのに。