nakanakadekinai's diary

単なる日記でもなければ、単なるエッセイでもない

居場所

入れ墨屋に来ている。

待合所は煙草がモクモク、お香がモクモクしている。

元ホストが彫ってもらってる音がミシミシと聞こえてくる。

私はこの後、可愛がっていたのに死んじゃった愛犬の入れ墨を入れてもらう。

サイズなどの打ち合わせはもう済んだ。

朝ご飯はコンビニのおにぎりにした。

入れ墨を入れ終わったら、焼肉食べに行きたい。

でも、食にこだわりのない元ホストだから、その辺の居酒屋で終わるかも知れない。

まぁ、どちらでもいい。

 

 

 

私という人間は、ずっとずっと自分の『居場所』というものを探していた。

それは今まで書いてきた文章を読めばわかる。

それは簡単には見つからず、もう何十年もの間、もがきながら彷徨い続けた。

ところが、元ホストに出会ってから、私は『居場所』というワードをあまり使わなくなった。

以前は日本には居場所がないとぼやき、海外へ行こうとしていた。

しかし、居場所というものは、場所ではなく、誰の隣にいるかである。

それがはっきりとわかった。

だからもう居場所を探す必要がなくなった。

元ホストは私のありのままが好きなようだ。

蓮ちゃんはそのままでいい、と、よく言われる。

私は、日々努力している。

元ホストの女であるために、一社会人であるために、会社の重役であるために、皆にとっての鏡や目標であるために。

そして、自分のことを好きでいられるために。

 

 

 

もしかしたら会社員になったことも居場所探しをやめた理由かも知れない。

つまり、個人で生きるということは、圧倒的な自尊心と、自信と、実力と、センスがなけりゃしんどいだけだということだ。

今までの私がそうだった。

哲学者並みに、自分とはどうあるべきか、世の中はどうあるべきか、そして人間の在り方について自問自答してきた。

その結果、私に必要なのは独立ではなく、パートナーを得ることだとわかった。

居場所とは誰かの隣を指すのだとしたらその答えは正しかったことになる。

そして遂に、私は居場所を見つけることに成功した。

生き甲斐も、目的も、何もかもを手にした。

足りないのは金くらいなものだが、きっと着いてくる。

今、必要なことは、自分の力で稼げるという自信。

独立するのはもっともっと稼ぐため。

いや、違う。

私にとっては元ホストと暮らすため。

終盤に差し掛かる人生。

最後くらい、甘い蜜を吸ったっていいだろ。

嫌というほど孤独と闘ってきたのだから。

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