午後から新人研修を行った。
私がそれを担当した。
社長からはもっと褒めてやれと注意されたりもしたが、私なりの教え方ができたと思う。
私が教えてもらったことを全力で伝えた。
しかし、一切メモを取らない人だった。
それについては元ホストからも注意されていたので、敢えて私からは言わなかった。
ノートを持ってこいと言われているのに、持ってこなかった。
次回持ってこなかったら、元ホストはブチギレるだろう。
数日後には二十歳の女性が入ってくる。
勿論担当は私。
コールセンターは未経験だそうだ。
果たしてこの激務に耐えられるのだろうか。
すぐいなくなりそうな気もするが、全力で教えようと思っている。
最近の私は、ちょっとしたコツを覚えて、売り上げにも貢献している。
謂わゆる、戦い方を身に付けたのだ。
この調子で一ヶ月間ぶっ飛ばす。
元ホストと先輩の足を引っ張ることなく、皆で寿司屋へ連れて行ってもらうのだ。
元ホストは寿司屋などどうでもいいことだろう。
さほど食に興味がないタイプなのだ。
私はできることなら社長とは行きたくないが、社長しか連れて行ってくれる人はいない。
だから、数字を上げてノルマを達成するしかないのである。
私は食べることが好きだから、寿司屋に釣られて頑張る。
八日は約束通り、元ホストと隣の会社の社長と三人で会う。
十三時の約束なので、午前中はゆっくり休む。
午前中は元ホストが用事があるとのこと。
ガッツリ話をしてくる。
これからの話、そして現状。
やっと一員になれた気がして私は嬉しい。
一員になれたといえば、この会社の正社員になったこともそうだ。
二十歳の子が育ってくれれば、私の株も上がるのだが。
だが、二十歳の世間知らずの女が一人前になるわけがない。
ある程度経験を積んでいる私みたいな奴の方が説得力があるのである。
それは常々元ホストも言っていること。
ただ、そこそこ可愛かったので、男性ばかりの職場では可愛がられることだろう。
私は優しく厳しく教えるつもり。
そして、私はもう若くないのでチヤホヤされないことにひがまない。
まぁ、私は若い頃からチヤホヤなんてされなかったけどね。
スパルタのスパルタ、私などはそれでいい。
だから今の私があるのだから。