実は帰宅が遅くなった。
元ホストに臨時収入が入って、GUCCIのネックレスを買ってもらった。
元ホストも金のネックレスを買う予定だったが、目当てのものが無くて、私だけが買った。
めちゃくちゃ欲しかった物で、めちゃくちゃ嬉しかった。
だけど、相変わらずケチケチしない元ホストのことが心配にもなり、なぜか、元ホストが困った時のために私は節約しよう、などと思った。
ただ、ずっと前からGUCCIのネックレスが欲しいと元ホストに言っていたのでビックリした。
誕生日まで待ってと言われていたから尚のこと。
あれこれ選んでいたのだが、せっかく元ホストが買う気になってくれたのだから、ここぞとばかりに一番欲しいものを買ってもらった。
妥協はしなかった。
でもさ、まだ付き合っていないのにとか考えるのはやっぱり私だけかね?
元ホストにとってはもはや私は大事な人なんだろうな。
それじゃないと、何万円もするものを買わないでしょう。
そう考えると、元ホストって不思議な人。
誰のことも信用できないと言いながら、私にプレゼントをする。
今日、臨時収入が入ったことについて、こう語っていた。
「贅沢してないから、金は流れて入ってくる」
そうだ、その通りだ。
元ホストが使うとしたら、人との会食で奢っているだけだ。
年齢的にも元ホストが奢らなければならない。
私は私で、元ホストが困った時に貸せる余裕があるように節約しているだけだ。
ただ、これだけは言える。
見返りに関係なく、死に物狂いで働いている。
僅かなインセンティブのためじゃない。
自分達が置かれている立場と任務を全うするため。
意地とプライド、それだけではない。
皆に与える影響も然り。
上に立つ者は、売り上げもトップであれ。
このまま行けば、今月のノルマは達成できる。
元ホストの売り上げは鬼である。
でも、私も元ホストも僅かな給料。
その代わり、天は私達を見捨てない。
本当はご飯食べて帰りたかった。
しかし、元ホストが寝不足でしんどいと言うので、池袋駅で解散した。
私はささやかな楽しみであるスーパーのホタテ刺身とレモンサワーを嗜みながらこれを書いている。
まだまだ連勤は続く。
今日も早寝しようと思う。
私は男性から高価なものを買ってもらったのは元ホストが初めてだ。
元ホストである元ホストにとっては当たり前で、不器用ながらに愛情表現なのかも知れない。
ありがとう!と言ったら、大丈夫、と言われた。
あぁ、不器用なんだと思った。
抱くのは怖いけど、プレゼントはできるんだ。
そそ、今日の昼間は二人でラーメン屋へ行った。
久々だからすこぶる嬉しかった。
元ホストの臨時収入について、詳細は聞かない。
小難しい女は、ネックレスより独立資金に充てろよと言うのだろうか。
別れ際に、こう言っていた。
「失くすなよ」
だから、外さないと言った。
もしかしたら会社の人が、私のネックレスに気づいて怪しむかも知れない。
それはそれで、まぁ、いいだろう。